09_ 詩・短歌など創作

裸足で来てよ

 
雨だから迎えに来てって言ったのに傘も差さず裸足で来やがって (盛田志保子)


大好きな歌。急に紹介したくなった。


急な夕立。
駅から、「もう、困っちゃった。迎えにきてよ」って電話したら。

傘もささず、もちろん手にも持たず、ずぶぬれで、裸足で、走ってきやがった。

あのさ、なんでわざわざ「迎えにきて」って電話したと思ったわけ? 
雨が降ってるの、見えてないの? バカなの? バカでしょ? バカだよね?

ていうか、じゃあ、なんでわざわざ来てくれたの?
この雨のなか。裸足で。走って。息をきらせてまでさ。

……ただ、あいたかったの?


こんな、こんな、こんな常識がなくて不器用でやみくもに一途で必死な、

こんな男がいたら、人生すべて捨ててついていっちゃうだろうなぁ!!!
断言できる。


でも、まあー、いないからね。 実際。
雨だから迎えに来てって言ったのに傘も差さず裸足で来やがる男なんて。

そういう「ポーズ」を取ることはできても、ガチで、なんの比喩でもなく、
ホントに傘をささずに裸足で走ってくるヤツは、いないよ。
靴くらいはくよ、大人は。 ダメだもの。靴はいた時点で。


「裸足で来る」という表現には、原始的で力強い愛がみなぎってる。
虚飾をかなぐり捨てた状態の、なりふりかまわぬ潔さ。
どうせ恋をするのなら私も裸足で行きたいし、裸足で来てほしいと思った。




(※実際には、作者を裸足で迎えに来た妹さんのことを詠んだ
お歌らしいです。でも、やっぱ恋愛の歌って感じがする。)


短歌のこと

 
日経ウーマンオンラインの、枡野浩一さん選「日々経る短歌」に
私のものも取りあげられました。うれしいっ。


リンクはこちら http://wol.nikkeibp.co.jp/article/topics/20100128/105718/


 分の悪い賭けではないが賭けなくちゃダメな時点で負けとも思う (若崎しおり)


いまの心境をそのまんまストレートに五七五七七にしてみた。

誰かが共感してくれたら、うれしいな。



題詠blog2009

 
月下燕さんの歌サイトで知った*題詠blog2009*、参加しました!


参加は自由。ルールにのっとって楽しく投稿しましょー。


でも100題・・・100かあ・・・ムリなんじゃないかと思うんだけど、
とりあえず、いけるとこまで行ってみるぜぃ。

思いついたら推敲せずにさくっと出しております。
「ハードルを高くしない」ってのは、継続するときの大事なコツです。

しかし、さっそく書き直したい歌もあったり・・・うううー。




***




001:笑

 その腕にからむマニキュア凝視する私の顔はなんで笑顔だ


002:一日

 消えてったスーパーボールと風船の行方を思い暮れる一日


003:助

 カマトトを続けるヤツを斬る君の悪意あっぱれ助太刀いたす


004:ひだまり

 ひだまりや背と背くっつけ転がってふたりで鯵のひらきになろう


005:調

 燻りくるマルボロ苦し あなたって調子いいときオカマ言葉ね

 (燻り=くゆり)


五月観

 
     回転数が早すぎる

     ひそやかに 手で水をかくように

     進む あの速度が欲しいくらいに

     なにか息苦しいような重たげな

     湿度のなかで泡立たせて

     追いつかなくてそれがわけもなく

     焦りを産もうとして足下を掬い

     上の空の打楽器のような初夏の雨を

     滾々と逆に濡らしてゆくような

     汲み果てない酸素が停滞したままの

     霞んだ陽光が届かないせいもあり

     朦朧となにがしかの小銭を握り

     これで購えるものがあったらなら

     今度こそ離さずにいようと思うものの

     ふとした汗に似せたまま

     思い出せない一節が気になって

     あたまいっぱいに広がった図面どおり

     散らかしたか固まったかしたような

     懐かしいゼリーが震えている錯覚の

     おおいなる預言を寝言で言うかして

     ただ こうしておよよおよよと

     すげなく取り散らかしたまま

     ここにこうしてあるものがすべてだと

     なんの言い訳も繕いもなく

     漠々と迎え送るばかりの日々


からっぽで誉められる袋になりたい

 

ばらばらにほぐされてしまいたい
そうしたのちに誰かお好きに組み立てて
きちんと形に整えてくれればいい

おりかさなった人物模型に
自分好みを探してみれば
指針というのはなかなか難しくもある

すみずみまで自分をいとおしむには
どこか足りないまま生まれてきて
精密機械のように具のそろった内臓が
少々身の丈にあわない気がしてならない

だからどうぞ一度ほぐして
文句の言えないからっぽな
ただの袋に仕立ててほしいと思う

真面目なはなしなのだが


独言

 
「愛」なんていう

きれいな言葉に満足しない私は

何を欲しがらなくてもたぶん




無欲に遠い




年明け



     雪が
     空をしめらせているころ

     どうしてわたしはぼんやりと
     地上にいるのですか

 
     足跡をおっかけることくらいできますが
     いらないことばかりぶちぶちとまあ
     あきらかなのですよ

 
     無体なものを欲しがるあまり
     おなかがすいた おなかがすいたと
     さえずってみぎもひだりも不自由します
 

     ふところに抱き取って
     あたためてくれたひとも
     手に入れたわずかなものたちも

 
     年が明けたら
     きれいになくなっているといい
     まっさらに壊れていればいい

 
     召し取ってそこに連れて行ってください
     寒風のみ確かにやさしい
     その雪の向こう どうかどうか早く

 
     せめて
     あたらしい空白がただそこにあれば

     今年こそ
     埋めずにおきたいのです



I'm your girl.

 
     なんのつもりか知らないけれど
     説明不足なの すべてが
     許されると思っているから生きているんでしょう
     笑っていられるんでしょう


     冗談にもならない雑事がいつも私を傷つける
     わかってもらおうって努力がダサいってウザいって
     そんな単語にまるめられることならはじめから
     はじめていない
     耳をすませてみれば張りつめた言葉はいつもそこいらに満ちている
     拾えないのはその指が太くて雑だからで
     こちらがわのせいじゃない


     逢わなけりゃよかった
     そう思えない出会いはきっと出会いの範疇に入りやしないね
     後悔といつも背中合わせに張り付いている
     わたしたちの未来
     運命だなんて安い言葉を発音するくらいなら
     靴磨きでもしていて
     いつだって対価のある力強い現実にわたしたち
     負け続けなのよ


     誰かに
     巡り会いたくて生まれてきたの
     ゴミを出すときと同じくらいには不安でさびしい
     毎日のいってらっしゃいとバイバイ
     発音するために作られた舌とくちびるをつかって
     わたしたちもっと気持ちいいことを生み出せる
     こういうのって発明なのかしらそれとも
     みすぼらしい退化なのかしら

     
     酔っぱらってもわたし あなたを見つける
     あなたの体温と口の中のにおいと体液と
     堅くてしなやかなあなたの骨を見分けられる
     それでも足りないの なにが足りないの
     愛の証明なんて誰にもできやしないのよ
     求められても とても巡りあわせの不可解ね
     あきらめてちょうだい

     
     ここに
     いるだけでこうして伝わってくるもの
     日向くさい肌のにおいがわかる
     しょっぱくてにがくて甘い汗の味がわかる
     猜疑と食いつかれそうな情動でいっぱいの瞳がわかる
     けものくさい息のあつさがわかる

          
     それがきっと過去と今と未来のすべてで


     ほかのものが欲しいのなら おねがい
     もっときれいですべすべした女の子のところへいってよ
     空腹と同じ記号でできた言葉で満腹になれるような
     そんな人のところへ行ってしまってよ
     ほら
     どんな確かな約束だって
     未来のことはぜんぶ
     嘘なのよね
     わたしにはできない だいそれたことはできないから それでも

     
     今だけはあなたを口いっぱいに含んで
     このしめっぽいあたたかさから確実に伝えてみよう
     好き
     あした大嫌いになるとしても今は
     好き
     きのう死んでしまえと思ったけど今は
     好き
     足りない分は誰かに補ってもらって
     舌先からゆるんでとけていくんだ
     はぐくみをあっさりとあきらめて咲くクチナシのように
     香りだけを残して次の季節までに
     去ってあげたい


     こんなにも 今日は いい天気で

     
     あっけらかんと晴れた冬空に
     恥じないように手をつないで歩く瞬間があるならば
     それが精一杯の幸せな抵抗


     どこに行こうかこれから
     どこに行かなくてもいいね
     ビトウィーンザシーツに閉じこめられた
     行き場のない思いの供養に そうね
     あたたかいものでも食べて無心に
     寝ようか




 

エンドロール

 
 
     跪いて乞うた愛は
     液晶の安っぽい光に溶けて流れた
     唯一のつながりがそこにあったから
     きのう落とした携帯電話の
     暗がりにひっそりと終わったのでした

 
     柳のように
     頼りなく揺れていた面影が
     黒い逆光を影に日向に笑うのです
     そこかしこに
     理解されなかった私の
     あわい無念が澱みます

 
     過ごさなかった年月と
     果たされなかった約束が
     さようならの一語に凝縮されて
     それはそれは宝物のように

 
     なんて美しかったことでしょう あなたは
     横顔の稜線を忘れますまい
     事実は事実として残るという
     単純はあなたにもやはり
     むごいこと でしょうか
 

     風の
     吹くままに面をあげ漂っていくと
     未知なるものが愚昧な私を目迎し

 
     そうして日々の手垢にまみれて
     あれもこれも思い出と去ってゆきます
     無感動なふりをして
     すべて取り戻せないままに




日々の感傷

  
     いまここにあることを
     めげない言葉そのもので語りたい
     なにかを産むことも作ることもなく
     ひとときの居眠りのようにささやかに


     いまここにあることを
     見えるままに置き換えてしまいたい
     読み解くことから離れ 笑いから隔たって
     美しい音楽のように揺らぎを纏ったままで


     なにを分かち合うこともなく
     それぞれがそれぞれのパンを食べ
     雨を受けるように水を飲み 少し眠り
     自然に目を覚ますことができるならば


     いまここにあることを
     あるままであるように語りたい そのときは
     神がかるなにものもない真摯なそして
     耳に留まる余計のない言葉だけを使いたい


     まっすぐに乖離してそのままここを逃げ去って
     欲もなく楽しみもない空に言葉とともに拡散したい
     歌詞のない歌を出ずるままにさえずりながら
     無いことも有ることもない しかし確かな部分になって




     ああ


     来た




     今日も正確にホームに滑り込んできた中央特快に
     中断された思念のゆくえを無限に夢見ながらも

     自分を生かす日々の雑事を全霊で愛している
     せっぱ詰まった我執を毎日なぞり飽きたこともない
     それでも幸福の欠片を意地汚く握りしめたまま私は
     限界までうたい




     ねがう





 

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