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韓国映画「スカーレットレター」

5月末の話なのですが、
「スカーレットレター」を見てきました。お仕事ですが。

イ・ウンジュの遺作となってしまった映画です。


あらすじ:

強盗殺人課の課長であるギフン(ハン・ソッキュ)は、
前途の保証された有能な刑事である。
私生活では清楚な妻スヒョン(オム・ジウォン)に待望の
子どもが宿ったばかり。
良き夫として振る舞う傍ら、美しいジャズシンガーの愛人カヒ
(イ・ウンジュ)とも情熱的な恋愛を楽しんでいた。

ある日、ギフンは写真館の店主が頭を割られて殺害された事件を
担当することになる。第一発見者である店主の妻ギョンヒ
(ソン・ヒョンア)は、夫である店主に多額の保険金をかけ、
また、子供を何度も中絶していた。
ギョンヒは潔白を主張するが、彼女のまわりには疑わしい男たちの
影がある。
真相を追求するうちに、ギフンはギョンヒに惹かれていく。

妻と愛人、そして被害者の妻。
3人の女たちの秘密がひとつずつ明らかになるとき、
ギフンの順調な人生は狂い始めるのだった…。

***

シリアスな映画でした。

えー、一言で言うならば、
「不倫をしたらバチがあたるよ」という映画です。

ここまで酷いバチがあたることもそうそうないでしょうけれど。


苦言をいくつか。

そのいち。

サスペンス映画の楽しみは、やはり最後の謎解きでしょう。
二転三転に翻弄され、おおっ!と驚き感動する、あの快感。

だから、ここに手を抜いちゃダメなのです。
観客が心底感心するような、心地よい裏切り方をしてほしい。

なのに。

ネタばらしはよろしくないでしょうから、詳しくは言いませんが、
最後の謎解きはちょーっと反則だと思いますよ。

韓国映画のタブーに挑戦してるのだかなんだか知りませんが、
わざとわかりにくくしている「作り込み臭」が鼻につきます。

確かに、愛人と妻の秘密は予想もつかない内容でしたが、
どんでん返しのためのどんでん返しはつまらないのです。


「おおっ、そうくるか!」ではなく、
「なんでそうなるのよぉー!」と感じてしまいました。

リアリティを一気に失う瞬間。


リアルな設定じゃなくてもいいんです。
でも、リアリティは欲しい。

上質の虚構を楽しみに映画館に行くんだから。




そのに。

メインの事件として扱われる殺人事件が、
まったく、少しも、主人公自身の謎と絡みませんでした。

それが、見終わった後、すんごく不満。

主人公と妻と愛人の三角関係に隠された謎と、
担当している事件の容疑者であるミステリアスな未亡人の
秘密(事件の真相)とが、

まったくリンクしてないんですよ。


冒頭で勃発する殺人はこの物語の中心を流れる事件なのですが、
それはそれ、って感じで淡々と捜査が進められ、ラストになって
唐突に真相が語られます。

見終わった後、「なんじゃそりゃあ!」って気持ちになりますわ。
チョー思わせぶりにひっぱっといて、あっけなく別々の事件・・・。


もうひとつの軸である主人公の私生活については、
妻は隠し事をしているし、愛人は何かを知っているそぶり。

主人公だけが知らされないまま、秘密をひっぱるのですが、
これまた愛人の告白という形で最後にバラされます。


二つの軸に、一片の関係もなし。
「影響を及ぼし合う」程度の繋がりすらも、なし。


ちょっとは、ほら、こう、リンクしようぜ!

「事件の真相は、こうだ!」という驚きと、
「ああっ、妻と愛人にはそんな秘密が!」という驚きが、

なにも関係ありませんでした。 …というのは、

ちょっと、サスペンスとして、とっ散らかってますよ。
二つとも最後まで引っ張っといてさー。

ある意味、
その拍子抜け加減こそがどんでん返し、みたいな(皮肉)

せめて、事件を追ううちに主人公の心理に影響が出て
それが三角関係に影を落とし…くらいの関わり方はして欲しい。


きっぱり無関係すぎます。納得いかない、食いたりないー!




その他、些細な点。

たかが刑事が、なぜあんないい家に!?
たかがクラブ歌手が、なぜここまで豪華な家に!?

などと、笑っちゃう見どころが満載です。

かつての日本のトレンディドラマの上を行く無茶な豪勢さ。

まあ、インド映画に出てくる、気の触れたようなお屋敷には
及ぶべくもありませんが、でもかなりウケます。

シリアスな映画なんだから、もうちょっと現実感が欲しいよー。


と、さんざんクサしましたが、
見る価値がないかというと、そうでもない。

イ・ウンジュの最後の姿が見られますからね。


これが遺作となってしまったウンジュ嬢は、
「ハン・ソッキュ(島田紳介似)に夢中」という設定が忌々しいくらい
可愛らしく、妖精のように可憐です。

韓国の女優さんには珍しいくらい骨格に固さのない、
たおやかな容姿が好きでした。

ソウルのブルーノートで歌うシーンがあるのですが、
歌声も甘く愛らしい。

ヌードで挑んだベッドシーンもきれいです。

一見の価値がありますよ。


えー、最後にひとつ。


閉所恐怖症の人は、決して見ないで下さい。


この忠告を無視して見ると、必ずや後悔するでしょう。

つーか、死ぬと思います。はい。


物語の後半、暗く狭い地獄の空間が出てくるのです。

最後に、その空間が「開く」のですが、
こもった血の臭いが「むあっ」と漂ってくるような血みどろシーンに
すべての観客がドン引きする中、

「ぷっはあー!!やっと開いたよ!」
と、私は思いっきり深呼吸しました。(←プチ閉所恐怖)

いや、まじでつらかった。
あの狭さはいかん。思い出しただけであっぷあっぷしちゃいます。

真性・閉所恐怖の人は見ちゃダメですよッ!!



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» スカーレットレター [゚・*はてしない嘆き*・゜]
イ・ウンジュの遺作を観ました。 ストーリーはなんかインパクトのある素材を とにかく詰め込みましたーって感じがしてしまったのですが イ・ウンジュの演技は鬼気迫るものがあります。 本当に楽しみな女優さんを失ったものです。...... [続きを読む]

» 韓国映画 「スカーレットレター」 [あ!ネットサーファー]
公式サイト ネタばれするので内容については一切書きません。韓国映画の中でも異種のような雰囲気を持つこの映画。爽やかではなくドロドロとした世界観が広がります。 惜しくも「イ・ウンジュ」の遺作となったこの映画。 彼女が自殺する動機の一つに「映画での露出が多... [続きを読む]

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