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終わりの日まで、飛び跳ねる

 
東京に帰ってきたとたんに大きめの仕事がどどどと入りまして、
昨日の昼から飛び跳ねております。ぴょんぴょん。


某大物インテリアデザイナーにインタビューしたり
スピリチュアルな人の「チャクラがどうたら」という話を聞いたり
アーティストの撮影に立ち会ったり、相変わらず一貫性ナシ。


どれも楽しいので、疲れながらも気力はりんりん。


来週はひといきついて、地味に原稿を書く予定ですが、
再来週はますます関東を跳ねまわらなきゃ、なのです。 ぴょん♪




***




旅行について。

熊本の山々を、登山にならない程度に散策しました。
人間に飼い慣らされていない、跳ねっ返りの自然に触れると
五感がギューンと元気になります。体のどっかのチャンネルが開く感じ。

あ、あ、忘れてたこれ、こういうの足りなかった、私の日常に、と、
清新な何かがチャージされて、生きていたい、という気持ちが湧いてくる。


阿蘇も湯布院も霧がたれこめていて、王子に見せたかった山並みの
美しさは半減というところでした。

それでも王子はずいぶん喜んでくれて、よかったよかった。

とくに、草千里や、湯布院から別府へと山を越えるあたり。

山がまるごと放牧地になっているんですよね。
柵もなにもなくて、舗装された車道にまでトコトコと牛や馬が歩いてくる。
崖も坂道も、彼らはひょいひょい登っていきます。

のんきに牛や馬が草をはんでいるのを至近距離に見ながら
なだらかな九重の峰をドライブするのは、気持ちのいいものでした。

風に混じる牛のにおいって、いいよね。




***




湯布院は標高の高い山間の里なので、気温は東京より冷涼。

けれど昼には名残の蝉が、かよわく鳴いたりもしています。

散歩の途中、道の上でブブと最後の唸りをあげていた蝉が、
ふと震動をやめて、ひっそりとしたものに変わる瞬間に遭遇。

あなたの声を、私は聞いたかしら。

そっと拾い上げると、思ったよりずっと軽く、美しい身体をしていました。




お宿では、広大なお庭で、ヒーヒーヒリリリ、フルールー、と、
虫たちが夜通し鳴いておりました。
澄んだ声の重なりで空気の密度が上がる。常世ではないようです。


旅先で寝ると、いつか、すべてが終わったときのことを考えてしまいます。


すべてとは、目の前にある雑多な仕事や予定のことではなく。

重たくも愛すべき軛たちから解き放たれたあとのこと、
ほんのしばらくの同道の旅を終え、友人の顔も家族の姿も
同じような人の形へとぼやけ、模糊とした彼方に消えていったあとのこと。


愛したことも、憎んだことも、記憶という記憶、思い出と呼び執着した一切が
意味の垢を洗い流されて白い砂へと変わり、
指の間からサラサラと清らかにこぼれてゆくときのこと。


もう起きなくていい、目をさまさなくてもいい。
明日にも明後日にも、永遠に予定はないのだから――。


旅行をすると、そんな日のことを、なつかしく思い描きます。


そこまで生きてゆく。そこを目指して生きてゆく。

たくさんのものをかき集め、大口をあけて食らいながら。




まだまだやることは山積みなのだと、
旅行から帰った私は、心底ほっとしているのです。 ぴょんぴょん、と。


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