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レッスン 01

 
   ほら あれだよ と
   指さしてあなたに教えたい
   日常のちりが削られては積もる
   息苦しい6車線道路を渡りながら あるいは
   とうに旬をすぎたほうれん草をゆでながら あるいは
   地下鉄の吊革に不安定につかまりながら あるいは
   ざらざらした雑音をまきちらす
   極彩色のテレビ番組でも見ながら

   そこに
   あるはずのない普段を掬って
   ほら これなのよ と
   つまびらかにしてあげれば あなたにも
   きっとわかる
   あなたのもてあます 私の
   日々の苛立ちの芯について
   それをはぐくむやるせなさについて
   やがてそれらの食い尽くす
   莫大な時間の糞について
   
   語り合うための語彙が私達には
   なんて少ないのだろう こうして いま
   弄しているふざけた比喩の数々や仕事の顛末または
   明日の天気、風邪の具合、それから…

   忘れ去るものについてだけ私達はいつも
   ひどく
   饒舌だ

   
   だから見せたい 指さして示したい
   ほら それなのよ と
   そうして私達ふたり

   顔を見合わせてふふふと笑って あるいは
   肩を竦めてやれやれという顔をして あるいは
   無言でしかめつらをしあって あるいは
   必死になって退治して
   
   はじめて
   語り合うために



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