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映画 『幸福な食卓』

 
映画『幸福な食卓』を、いま、見てきました。午前の回。


よかった。励まされた。

ひさしぶりに、映画で泣きましたよ。


** あらすじ **

3年前のある事件から、少しずつ形を変えてきた佐和子の家族。
それはいつも、家族が揃う朝食のとき、誰かが宣言するところから始まります。

誰よりも家族おもいだった専業主婦の母さんが家を出て、
突然近所でひとり暮らしをはじめた。
天才と言われた成績優秀の兄が、大学進学をやめて農業をはじめた。

そして佐和子が中学最後の1年を迎える朝、今度は父さんが宣言しました。
「父さんは、今日で父さんを辞めようと思う」。

胸を痛めながらも、好き勝手に生きる家族を支えようと頑張る佐和子の前に、
転入生がやってきます。大浦勉学。
高校進学にむけて切磋琢磨しあう中で芽生えた恋は、
いつしか佐和子にとってかけがえのないものになっていくのですが、
ある日、突然の悲劇が訪れるのでした。


** **




私たちはみんな、大勢の人たちから少しずつ分け与えられた
小さな愛情や親切に知らず知らず依存しながら、
それらの紡ぎ出した大きな毛布に守られて生きているんだ。


そんなことに気づかせてくれる映画です。


展開としてはよくある悲恋ものだし、主人公はひたすら健気なのだけど、
見終わったあとの感じは、とてもさわやか。
何があっても、乗り越えていける。そう思えますよ。


この物語のポイントとしては、少しずれているかもしれませんが、
私がいちばん感動したところは、大浦くんと佐和子の恋愛そのものでした。

感情をぐっと抑え込んで、家族をつなぎとめる役目を必死で演じている
まじめな佐和子。
なに不自由なくスクスクと育ってきた、眩い太陽のような大浦くん。


大浦くんが佐和子に送った手紙の文章には、涙がもう、止まりません。
幸福な若い恋人たちの口から出る未来への言葉は、
なんて清らかで力強くて、きらきら輝いているのだろう。


それはきっと、ありあまるほど未来のある高校生たちには、
逆に、未来がないからなのです。

残り時間をおそれながら「今」を大切にするのではなく、
ごく自然に、彼らは未来を疑わないという方法で、未来を目の前から
消し飛ばしてしまうことができる。

いつか別れが来ることも、いつか必ず死んでしまうことも、
その強い生命の光輝のまえでは、呪いの威力を発揮することができない。
たとえすぐ眼前に、実際のそれが迫っていたとしても。


「あと何回こうしてクリスマスプレゼントあげられるかな」
そう言い合うことに、少しの打算も不安も寂寥も混じらない恋愛は、
底抜けに力強く、まぶしく、どこまでもなつかしい――。


私はきっと、そこに泣いたんだ。 物語の悲劇性ではなくて。


16歳にして数々の修羅場をくぐり抜けながら、それでも、
不幸のヒロインにならない佐和子ちゃん。
元気をもらいに、行ってみてください。



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