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I'm your girl.

 
     なんのつもりか知らないけれど
     説明不足なの すべてが
     許されると思っているから生きているんでしょう
     笑っていられるんでしょう


     冗談にもならない雑事がいつも私を傷つける
     わかってもらおうって努力がダサいってウザいって
     そんな単語にまるめられることならはじめから
     はじめていない
     耳をすませてみれば張りつめた言葉はいつもそこいらに満ちている
     拾えないのはその指が太くて雑だからで
     こちらがわのせいじゃない


     逢わなけりゃよかった
     そう思えない出会いはきっと出会いの範疇に入りやしないね
     後悔といつも背中合わせに張り付いている
     わたしたちの未来
     運命だなんて安い言葉を発音するくらいなら
     靴磨きでもしていて
     いつだって対価のある力強い現実にわたしたち
     負け続けなのよ


     誰かに
     巡り会いたくて生まれてきたの
     ゴミを出すときと同じくらいには不安でさびしい
     毎日のいってらっしゃいとバイバイ
     発音するために作られた舌とくちびるをつかって
     わたしたちもっと気持ちいいことを生み出せる
     こういうのって発明なのかしらそれとも
     みすぼらしい退化なのかしら

     
     酔っぱらってもわたし あなたを見つける
     あなたの体温と口の中のにおいと体液と
     堅くてしなやかなあなたの骨を見分けられる
     それでも足りないの なにが足りないの
     愛の証明なんて誰にもできやしないのよ
     求められても とても巡りあわせの不可解ね
     あきらめてちょうだい

     
     ここに
     いるだけでこうして伝わってくるもの
     日向くさい肌のにおいがわかる
     しょっぱくてにがくて甘い汗の味がわかる
     猜疑と食いつかれそうな情動でいっぱいの瞳がわかる
     けものくさい息のあつさがわかる

          
     それがきっと過去と今と未来のすべてで


     ほかのものが欲しいのなら おねがい
     もっときれいですべすべした女の子のところへいってよ
     空腹と同じ記号でできた言葉で満腹になれるような
     そんな人のところへ行ってしまってよ
     ほら
     どんな確かな約束だって
     未来のことはぜんぶ
     嘘なのよね
     わたしにはできない だいそれたことはできないから それでも

     
     今だけはあなたを口いっぱいに含んで
     このしめっぽいあたたかさから確実に伝えてみよう
     好き
     あした大嫌いになるとしても今は
     好き
     きのう死んでしまえと思ったけど今は
     好き
     足りない分は誰かに補ってもらって
     舌先からゆるんでとけていくんだ
     はぐくみをあっさりとあきらめて咲くクチナシのように
     香りだけを残して次の季節までに
     去ってあげたい


     こんなにも 今日は いい天気で

     
     あっけらかんと晴れた冬空に
     恥じないように手をつないで歩く瞬間があるならば
     それが精一杯の幸せな抵抗


     どこに行こうかこれから
     どこに行かなくてもいいね
     ビトウィーンザシーツに閉じこめられた
     行き場のない思いの供養に そうね
     あたたかいものでも食べて無心に
     寝ようか




 

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