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しろへび様

 
お休みのいいところは、
次の日の朝を気にせず、いつまでもとろとろとお酒を楽しめるところ。

ということで、GWを満喫中の王子と私、ワインからブランデーに変えた
グラスを片手に、昨晩もよしないおしゃべりを楽しんでいたのですが。


王子が、ちょっと不思議なことを言い出しました。


「神社ってさ、白ヘビがいるじゃない、それで・・・」


普通にそうやって話を切り出され、キョトンとしてしまった私。

「神社に白ヘビ? そういう伝説があるの?」
「いや、伝説っていうか……どの神社にもいるもんじゃないの?」
「え?? え??」
「あれ?」
「・・・???」


それは王子が、ムシ類(昆虫、爬虫類、両生類)を
こよなく身勝手に愛するわんぱくな小学生だったころ。

かぶとむしがよく集まるブナの木や、ひっくりかえすとコオロギが
おもしろいくらい飛び出してくる草刈の束などの「オレだけのポイント」を
偵察しながら下校中の、ある夏の昼下がりのことでした。


王子は、いつもとは違う道に入ってみて、小さな神社をみとめ、
横手にまわって、透垣のすきまから体をこじいれて侵入したそうです。


「表参道はあいてなかったの?」
「わかんないけど、横の狭いとこから入るのが楽しいんだよ」
「わざわざ?」
「男子ってそういうもんなんで」
「さよか」


そうして神社らしい木暮の中を、ムシがザクザク取れそうな予感に
わくわくしながら、きょろきょろと探索していたところ。


目の前の巨木の枝に、ふいに、白ヘビが現われたんだって。


白ヘビは、直径が1センチ、差し渡し30センチほどの小さなからだを
枝にもたせかけて、高みから見下ろすように、小首をかしげて
じっとしていました。

どこかから突然出現したような、そんな現れ方だったそうです。


「・・・白い紐だったんじゃないの?」
「いや、ちゃとヘビだったよ」
「なんでわかるのよ」
「目が合ったから」
「目が・・・・・」
「うん。目が合ったんだ」


ぽっちりとした赤い目がちゃんと自分を見ていることが、王子にははっきり
わかったのだそう。

魅入られたように見つめ返していると、
ヘビの白くなめらかな顔がぱっくり裂けて、中から小さな炎のような舌が
ちろちろと覗き、それが合図になって、王子は金縛りがとけたように、
一目散に神社から逃げ出しました。

あわてて透垣に袖をひっかけて破ってしまったこと、
それで母に怒られたことも、よく覚えているそうです。


「へええ……」
「でも、考えてみれば、どの神社にも白ヘビがいるわけないよね。
30年間、なんとなくずっとそう思い込んでたことに、今、気がついた」
「よっぽど強烈な思い出だったのね」


よく晴れた夏の午後。虫かごを下げた少年。神社。沸き立つような蝉の声。
大きなご神木。小暗い木陰。こちらを見ている白ヘビ・・・。

まるで絵のような、そして詩のような。

無心な少年の前には、時として、異世界への扉がすこし開きかけることが
あるのかもしれません。


「ねえ、ひょっとしてあなた、神さまに会えたのかもしれないよ」
「いやー、まさか、それはないだろう」


と、言いつつも王子の目には、「やっぱり、そう思う?」という誇らしさが
漂っているのでした。 いいなぁ。


私もいつか、神さまに会えますように!



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