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マンガ: かむろば村へ(いがらしみきお)

 


お金アレルギーの主人公が、過疎化の進む東北の農村「かむろば村」に
都会から単身引っ越してくる。 お金を「1銭もつかわない」生活を求めて。

そこでふれあう、村長以下、村の人々との心温まるローカルライフ……。


な~んて言ってしまうと、おおむねそのとおりにも関わらず、
このマンガのおもしろさを9割方とりこぼしてしまうという、
なんとも紹介に困ってしまうマンガ。


分類不能。 だけど、圧倒的に面白い。


『Sink』の不気味さと、『ぼのぼの』の哲学性とギャグセンス、
その両方が発揮されていて、かつ、人と人とのきれいごとではない
触れあいがリアリティをもって描かれています。 いがらしマンガの新境地です。

常軌を逸して世話焼きな村長ヨサブロ。
雛には希なる華やかさで周囲を照らす、ヨサブロの妻の亜希子。
清楚な顔してちゃっかりしたイケイケ女子高生。
なんとなーく尊敬されている、カメラが趣味の「神さま」なかぬっさん。
神さまの娘で、能面のごとく「無表情な笑顔」の伊佐旅館のおかみ。
その息子の、理解不能な能力をもつ不気味少年・進。
顔にぐるりと傷のある、どうみてもカタギじゃない板前、勝男。
プレッシャーに弱いくせに政治家きどりで目立ちたがりの助役、いぎっつぁん。

など、など、など、かむろば村の面々は、とても都会育ちのひょろひょろな
主人公が手に負えないほど、キャラが濃い!

私はずっと、日本以外の国で住むとしたらどこがいい? って聞かれたら、
「マリネラ」って答えてました。
これからは、「マリネラか、かむろば村」って答えようと思います。


3巻までは、「ほでなす」な主人公をとりまく、ちょっと不気味でファンタジックで、
トホホだけど朗らかな田舎ライフ。

最終巻である4巻は、がらりとテイストの違う、ヨサブロの過去に焦点を当てた
復讐と再生の物語で、解決まで息もつかせません。


そして、4巻末の、全エピソードを包括する「ひとこと」には、大人であれば
あるほど、あたたかな涙を禁じ得ないことでしょう。
「ああ、人生って、ほんとうに、そうだなあ……」と、なにかに打たれたごとく
敬虔な気持ちにさせられます。

この「ひとこと」にたどり着くためにも、4巻まで読破してほしいなあ。


凶悪な過去を持つ人間も、どうしようもなくしたたかなヤツもいて、
不条理な現象や、やっかいごとも次々に降りかかってきて。

それでもなお、主人公が本当に「1銭もつかわず」生きていける、
この「おがむろさま」のいらっしゃるかむろば村は、しあわせに閉じた
ファンタジーの世界。


『三丁目の夕陽』のひたすらな善良さが、あの時代にすらどこにもなかったように、
『よとばと!』の平和が、日本のどこにも存在しないように、
かむろば村もまた、いっぷう変わった桃源郷なのです。




 《かむろば村ではな、な~んでも解決すんだ。》




  



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