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メガネ

 
今日、最寄り駅で電車を待っているとき、中年男性に、
しごく真面目な調子で、しっかり目を見ながら、突然声をかけられた。


「夢に出そうなメガネだな」


は、とフリーズしながら、頭だけ高速回転する。

周りには誰もいない。そして私は裸眼。 メガネ? しかも、夢に出そうな?


おじさんは、そのまま私の横にたたずんだあと、
ふつうに電車に乗って、ふつうに隣の隣の駅で降りていった。


ドキドキしながらメガネ、メガネ、とぐるぐる考えていて、ふと思い出す。


もう10年は前の話なのだけど、外出先で、
「101匹わんちゃん」の犬種を思い出せなかったことがあった。
(なぜそのとき私の頭に「101匹わんちゃん」が降って湧いたのかは忘れた)

ポインセチア、という単語が浮かぶ。
ちがう。花の名前だ、それは。
わんちゃん。わんちゃんだから。
どうしてもポインセチアから頭が離れない。
こうなるともう、「ポイン」あたりの語感に縛られて、発想に自由がきかなくなる。

白地に黒いぶち。つぶらな瞳。濡れた鼻面。
軽やかなギャロップの様子や、つるりとなめらかな毛触り、
ヒラヒラした耳の内側のほのかな湿り気とぬくもりまで、はっきり想像できるのに。


なまえが、なまえが、ポインセチア、、、じゃないんだよ。


当時のケータイにはまだ我らのGoogle先生は搭載されておらず、
むずがゆい気持ちでいてもたってもいられなくなった私は、
つい、声をかけてしまった。勢いで。
信号待ちをしているおっとりと優しそうな女の人に。

その人は、ちょっと驚いて、いくぶん訝しげに、
だけど口元に微笑み未満のやわらかさを滲ませて、答えてくれた。


「ダルメシアンですね」


10年過ぎて、今に至るまで、私はその女の人ことを、ずっと好きでいる。




おじさん、それはどんなメガネなんですか。



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