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『母を逃がす』

 
昨晩、大人計画の『母を逃がす』を観劇してまいりました。

思いっきり笑い、息を呑んで成り行きを見守り、また笑い。
ドドンパ級ジェットコースターに振り回されるような2時間半は
あっという間に愉快愉快と過ぎていった、
なのに見終わった後、なかなかにずっしり胃に来てしまいました。


舞台は、最盛期を過ぎ、人間関係の煮詰まり果てた、閉鎖的農村コミューン。
ドタバタな悲喜劇は、笑いにくるまれてはいるけれど、本質的に救いがない。
戯画化されたあの地獄は、限りなく私たちの日常の近似値だ。


ニヒルで。だけど必死で。どうしようもなく滑稽な、営み。
それらを飲み込んで、日常は続いていく。流れていく。
そこに意味なんか、ない。
虚無の中に咲く言葉は、ときに強烈に光り輝き、やがては腐りはてゆくばかり。

生きていくってことを、あんなふうに捉えてしまうことは、つらい。

だけど、もう一回観たいなあ。

何度でも味わいたい嫌な味ってのがあると、はじめて知った。

にがさまで美味しいと思えるのは、たぶん、
とてもとても誠実に作られているからだと思う。




*****


さて。話は余談へとスライドしますよ。


観劇後、劇場のそばにある焼き鳥居酒屋に入りました。

私たちの横には、18~22歳くらいとおぼしき、とっても若いカップル。
大学の話をしていたので、学生さんのようです。
串が焼ける間、何気なくその会話を聞いていた王子と私なのですが。。。


「おまえのお父さんって、マジiPhoneとか首からさげてそうだよなー!」
「やだー、そうなのー、うれしー!」

(えっ、今のセリフって、「褒め言葉」だったの!? どのへんが??)


「普通は寿司のにおいなんか嗅がねえだろ? でも俺はさ、……嗅ぐからさ」
「えーっ、マジですごーい!」

(えっ、今のって「自慢話」だったの!? どのへんが??)


「おまえってどんな音楽聞いてきたの?」
「えっとぉ、●●とか、△△とかぁ-」(聞き取れず)
「へえ。若いときから耳が肥えてたんだね。俺も若いころは●●とか…(続く)」

(20歳そこそこから見た「若いころ」って、いつ??)


王子とふたり、口数少なく串を噛みつつ耳をそばだててしまいました。
いやー、たまにはシモキタで飲むのもいいね。
思いがけない余録というか、面白かった(笑)。



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コメント

余談で爆笑しました。突っ込みも見事です。
自分ではいつまでも若いつもりでいても、
こうやってジェネレーションギャップは生まれていくのですなあ。

>酒徒さん

もーほんとに参っちゃいましたよ。
だって、「今の若者っぽい会話を書いてみろ」って言われたとして、
どう頑張っても出てこないですもん、あんな内容!
現実は想像力を軽く超えていきます!

自分はやっぱりちゃんと大人なんだなと思いましたよ(笑)。

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